偶然の恵比寿

恵比寿の弁護士 藥師神 豪祐のブログ

三月の恵比寿

近い未来に一緒に仕事をする若い弁護士さんたちに対して伝えたいことをなんとか言語化できないものかなと。noteを書こうと思うも、推敲する時間が無駄に思えたので書き下ろしていくスタイル。

うちのテーマはたぶんこんな感じ 

・むりをしない

・ちゃんと稼ぐ

・選択肢を増やす

・やりたいことを見つける

・譲れない領域をもつ

・自分の機嫌は自分でとる

たぶんこのあたりがfork law officeのテーマかなと思います。自営業者としてはこのテーマを毎日ぐるぐるさせていくのが王道になります。ベンチマークすべき同業者が見当たらず自分たちで模索することになるのがつらいですが、面白さでもあると思います。稼ぐという部分では、四大事務所の同い年くらい人たちと同程度には収入があります。これくらい稼いだらいいでしょというベンチマークにはなっているかもしれません。得意な分野でむりせず戦って価値提供していきましょう。

むりをしない

まず最初に言いたいのは、「むりをしない」ことです。アウトプットのクオリティに密接に関わるのがその理由です。やっぱり余裕のない状態では良い仕事はできないと思います。というわけで、真っ先に「むりをしない」を獲得してください。その上でちゃんと自分なりの価値提供の仕方を死ぬほど考えましょう。

選択肢を増やす

「社会が急激に変化していく」は、僕らのゲームの所与の前提です。これは動かせません。変わり行く世界の中で、自分がやがてなにに興味を惹かれるか、自分が得意な領域がどうなっていくかは正直わかりません。この「正直わかりません」も所与です。わからないまま進むしかないのですが、世の中が変化した先で、自分の手持ちの選択肢が狭いと詰むはずです。少なくとも幸福度の高い状態でいるのは難しいでしょう。そうすると、できるだけ選択肢を増やすポジションをとっておく必要があります。ここは別途深掘りします(自分の予測と、予測に対応する形でforkが仕込んでいることについてはまた別途)。

プロジェクトベースのお仕事

ところで、うちは「法務受託」が主なサービスと伝えていますが、プロジェクトベースのお仕事も当然あります。報酬のいただき方から言えば、受託のような月額課金制ではなくタイムチャージベースのお仕事になります。分かりやすいところで言えば「eスポーツリーグの立ち上げをするからちょっと入ってよ」みたいな依頼が来ます。

餅は餅屋なので自分がプロマネとして参画することはほぼなく(プロジェクト内プロジェクトでたまにあるくらいです。)、プロマネさんが進めていく中で、法務っぽい仕事を振られたり、動きを見ながら自分から懸念点を出していくのがお仕事です。

Facebookのmessengerグループかslackのワークスペースのどちらかが立ち上がります(LINEグループでプロジェクトが進んだことも数回ありますがなんとなくやりにくかったです。誤爆こわいし。)。プロジェクトが進んでいく様子を見ていくのは、法務だけを仕事にしている人からするととても勉強になると思います。盗むべきことがたくさんあります。

実戦でしか人は成長できないので、実戦に投入していきます。よろしくお願いします。

Law On Demad

完全に脱線しますが、プロジェクトの話をここでもうちょい広げます。うちではLaw On Demandというサービス名でやっています(六本木一丁目の某社でインハウスをしていた時期に閃いた名称です)。

プロジェクトに入ると、まず「法律にだけ詳しい人」の価値のあまりのなさにビビります。価値はあるとしても、「実働領域の狭さ」を感じるはずです。プロジェクト内で「貢献できる領域の狭さ」につらくなるはずです。逆にいえば、自分以外の人たち、マーケであれ、お金引っ張ってくる人であれ、他の役割の人たちの実働領域の幅広さ・拡張性や、業界知識(ヒト・モノ・商流などの知識や理解)の深さを感じるはずです。これに追いつくことが初期の命題になるはずです。

業界知識大切です。キーとなる人、企業、サービスについて知っていないと当然「なんでお前いるの?」という目で見られる(気がしてしまう)はずです。本気で調べたり会いにいったりする必要があります。というわけで、なんというか、業界を絞らないとやっていけないわけです。ということで、「譲れない領域をもつ」という話になります(選択肢を増やすとの両立を図るのがキーですがここは別途)。

法務マターでめちゃくちゃ卑近な例でいえば、打合せをしていると、例えば「ZOZOの後払い」の話とか「LINEの宝箱の鍵」の話なんかが出てくるわけです。そういったときに、割賦販売法の論点とか資金決済法のノーアクションレターの話とか、そういうことがちゃんと共通知識として出てくる必要があるわけです。ですよね。その感じです。

ある程度、業務の領域を絞らないと、そもそもなかなかお呼ばれもしませんし、実戦に投入されても楽しめないことになります。いまはスポーツ、エンタメ、アパレルが多いですうちは。

世界は広い

などと言っておりますが、一意見です。小さい世界にこもらないようにしましょう。

常に様々な状況にある人とコミュニケーションをとり、自分のいる環境や自分のポジション・行動が社会的にはどのような価値として位置付けられるかを考えることが必要です。そのためにも、複数のアカウントを持って、複数のコミュニティに所属することが必要かなと思います。

私自身もいつもよく人に会いに行きます。多様な時期に仲良くなった多様な職種の友人に会い、自分のビジネスが社会的にどのように位置付けられるかを常にチェックしています。目の前の実務で不安なときには同業者にも会いますし、すぐに連絡をとります(相談のためのslackグループも持っています)。ちなみに日常業務での私からのクオリティ管理も、資料や雛形や過去事例の検討メモをささっと横から投げる形で入ることが多いです。

やはり人に聞いた方が早いことはいくらでもあり、すぐに聞いてしまうべきことか自分で検討すべきことかの判断のセンスが大事になるかもしれません。そして自分自身もできる限りキャラを立てて、どういうときなら頼ってもらって大丈夫かをなんとなく示しながら生きていくのが良いと思います。

最近これに加えて思うのは、継続的に接している友人たちは過去の私を知っているので、自分を見失わないこともできます。そんなようにして、常に自分の現在地を確かめながら生きてきました。これ大事かもしれません。

サイコロを振って祈るのではなく、仮説を立てて行動して、振り返りの検証をサボらないようにする。検証にはできるだけ自分以外の目線を入れる。そうしていれば、毎日少しでも進んでいることが分かり、心の平穏にも役立ちます。むりをしないにつながります。

あとは覚悟。あーもう何度も何度も話が飛びますね。覚悟を持つことが何を意味するかは、ブチャラティが命懸けで教えてくれるのでジョジョの5部を読むのが良いかもしれません。ただし、覚悟を持つと、手持ちの大きな仮説の検証を一旦停止することにもなり得ます。いったんどこかに飛び込むと、手持ちの大きな仮説を疑うことができなくなる場合があります。そうならないためにも、自分個人の戦略を持って、あくまでも他人ではなく自分という箱を育てていくんだことを忘れないでください。命はめちゃくちゃ短いので、自分のやりたいこと以外のことをやる理由も時間もありません。

だなんて偉そうに。